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芝浦工業大学

工学部建築工学科

西沢大良研究室

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第二回西沢研究室ゼミ発表

第二回西沢研究室ゼミ発表が全班終了しました。今回は各班の第二回ゼミ発表の内容を紹介します。

【河川班】

第二回発表では、初めに暗渠上の現状用途をマップ化し考察を行った。転用用途としては道路が約8割を占めるが、遊歩道や庭園路などは23区の西側に多く見られた。また、河川形状が街に対し大きく影響を及ぼしており、蛇行し分岐や合流を繰り返すことで河川特有の流路形状が生まれているが、インフラや行政管轄など地形以外の要素が原因であることも多いことが分かった。

不動産鑑定の視点では、暗渠に多い帯状画地は人のみ通行可である場所も多く、用途が限定され土地の一体的利用性が劣るために減価が発生することがある。

上水・用水を含む河川の暗渠化の流れを年表と共に追い考察した。急激な都市化のタイミングで暗渠化された36答申をはじめとする25本の下水道化協議河川は都市計画・建築計画の双方に大きな影響を与えていると考え、研究対象としていくこととした。これらの河川沿い又は河川を含む街区単位で建築計画・建築形状への影響を具体的に探っていく。

今後は宅地化と暗渠化のタイミングの前後関係など、開発段階で与える影響について深掘りしていく。

Fig.1 暗渠上現状用途マップ

Fig.2データシート

【地形班】

第二回ゼミでは、「東京山手部に存在する地形の分類」を行い、分析で注目すべき地形を持つ空間の抽出を行いました。現時点“注目すべき地形”としているのは、

(1)ある程度の規模(=建築単位ではなく地域単位に関わる地形)

(2)建築が間近にあるもの(河川や鉄道付近ではない)

(3)崖のように、人のアクセスになんらかの影響を与える規模のもの(なだらかに広がる斜面ではない)

です。

地形という“線形が決まっているわけでもなく領域もはっきりとしていない概念”を分類する為に、まず「地域5次メッシュ」(国土地理院)(約250m四方)を使用し、山手線内を1047のメッシュに分割します。

その後各メッシュに、

a:最大標高差 (=標高の最大値-最小値。高いと崖などが発生する可能性があがる。)

b:標高偏差(=標高値のばらつきを示す値。全体がなだらかな傾斜だと低く、崖のような急傾斜があると高い値となる。) の二つの値を与えることでメッシュ内の“地形の様子”を数値化します。この数値と、細かい部分は目視で判別をすることで、可能な限り客観的なメッシュの分類を行い、1047のうち、注目すべき地形を220に絞りました。

今回の定量抽出+目視抽出によってでた、分析すべき地形を含むメッシュ220個(fig.3)に関して、高い面と低い面の関係性(用途や街区形状等)という、スケールを落とした分析へと進んでいきます。

Fig.3山手線内における分析対象メッシュ

Fig.4抽出されたメッシュ

【街区班】

第一回では、街区がどの道路幅員によって構成されているかを示した「構成街区」を東京23区範囲でマップ化した。

また、街区一つ一つの考察用データシートからそれぞれの幅員による影響の違いを分析した。その分析から「街区」が道路幅員の大きい、幹線道路のような道路に依存して影響を受けているのではなく、道路幅員の組み合わせとその構成幅員の種類数に依存していることがわかった。

「構成街区」1分類の中でも、「街区形状」へ影響するもの、「街区内の建物」に影響するもの、「街区形状」と建物の両方に影響するものがあることがわかった。

第二回からは、第一回の分析結果から「街区形状」と「街区内の建物」への影響2つの観点から「構成街区」、「構成幅員数」への相関関係を考察した。また、その際に「街区内の建物」の数値化を試み、建物のフットプリントのバラつき具合を変動係数を用いた数値を使用した。

前回と同じように考察用データシートの作成と23区全体の街区の数値によるグラフ分析をすることで、目視による感覚的な分析と数値による定量的な分析を紐づけながら考察をした。

Fig.5構成街区の形状分析

Fig.6変動係数と構成街区の相関分析

【接収班】

第2回の発表では、まず、日本において戦後接収がなされるようになった経緯、またその後の返還に向けてどのような条例、出来事が起きていたのかをまとめ上げた。それによって、同時に作成した東京圏(仮)における接収地の変遷フラッシュデータの理解がしやすくなる。1952年に制定されたサンフランシスコ平和条約により日本の主権が認められたため、その後接収地の返還は千代田区を中心として都心部から順に返還されていく。その後73年に実施された関東計画(KPCP)までに23区内部ではほとんどの接収地が返還され、その期間は接収地の返還期と位置付ける事が出来るが、73年以降接収地の返還は停滞している。

それらの流れを接収建物ごとにプロットし、散布図としてまとめた。それによると、米軍による接収用途によって分布に違いが見られる。東京駅周辺の都心部においては建物単位で接収しており、東京駅から4㎞以上離れた範囲まで広がると群として接収されている工場の分布が目立つ。そして最遠部に領域を伴って新設されていた住宅団地が立地する。

今後は、今回見られた流れに沿って、特に群として(領域を伴って)接収されていた工場・団地について考察を深めていく。

Fig.7接収地フラッシュデータ

Fig.8接収地散布図

【鉄道班】

第二回発表では鉄道路線が市街地に影響を与えている曲線部の抽出を行いました。鉄道は直線、緩和曲線(円曲線上を走行する列車に働く遠心力を緩和させるための微小な曲線)、円曲線から創られています。今回は鉄道の線形が周辺の障害物だけでなく、車両長(1車両約20m)によって制限されていることから軌道構造基準規程第8条(曲線間直線長:20m以上)、軌道構造基準規程第11条(最小円曲線長:少なくとも20m)に着目し曲線部の抽出を行いました。

また、鉄道の線形データを元にグラフを作成し曲率の激しさを可視化しました。抽出した曲線部付近について街区形状、開発の差、空地率について調査を行い、鉄道が敷設されたことによる直線部と曲線部での比較考察から市街地に与えている影響について追求しました。

Fig.9市街地に影響を与えている線形

Fig.10鉄道線形グラフ


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